Strategy / 2026.05.26 / 12分

スタートアップのマーケティングを「ゼロから立ち上げる」最初の90日

マーケティング担当者もいない、ノウハウもない、予算も限られている――。多くのスタートアップが直面するこの状況で、最初の90日に何をすべきか。一人でマーケティング部署を立ち上げ、2ヶ月でPVを2倍、年間リードを5倍にした実体験をもとに、優先順位と具体的なステップを公開します。

なぜ最初の90日が重要なのか

マーケティングの立ち上げで失敗するパターンには、共通点があります。「全部やろうとする」「いきなり広告を打つ」「数字を見ずに走り続ける」――この3つです。

スタートアップに必要なのは、限られたリソースで「これは伸びる」という確信をどれだけ早く掴むか。90日という期間は、最初の意思決定を下すのに十分かつ、判断を遅らせない絶妙なタイムボックスです。

逆に言えば、90日経っても「何が効いているか分からない」状態であれば、やり方を根本から見直す必要があります。本記事で示すのは、その「分かる状態」に最短で到達するためのロードマップです。

Day 0〜30:現状把握と「勝ち筋」の仮説

初月のゴールは「どこで戦うか」を仮説として一本にまとめることです。施策の実行はまだ早い。まず徹底的に現状を把握します。

1. 事業の数字を「マーケが動かせる単位」で分解する

売上から逆算して、リード数 × 商談化率 × 受注率 × 平均単価、というシンプルな式に落とし込みます。スタートアップでよくあるのは、「PVを増やしたい」「フォロワーを増やしたい」という手段の目標から入ってしまうこと。動かすべき変数は何なのかを、事業責任者と必ず合意してください。

2. 既存顧客を5社、徹底的にヒアリングする

「なぜ自社を選んだのか」「比較検討した競合は誰か」「契約の決め手は何か」。この3問を聞くだけで、ペルソナと訴求軸の精度が一気に上がります。アンケートではなく、必ず1対1のインタビューで、できれば事業責任者が同席して聞く。これが90日プロジェクトで最も価値ある30分になります。

3. 競合のマーケ活動を地図化する

主要競合5社が、どのチャネル(SEO/SNS/広告/イベント)に注力しているかを一覧化します。多くの場合、競合が「やっていないがやるべきこと」が必ず見つかります。これが勝ち筋の候補になります。

4. チャネル仮説を「1つ」に絞る

最後に、ヒアリングと競合分析から導いた「最初に攻めるチャネル」を1つだけ決めます。SNSなのか、SEOなのか、コミュニティなのか。「全部やる」はリソース分散の言い換えです。初月の最大の意思決定はここです。

Check Point

初月終了時に、以下が言語化されていればOKです。
・動かすべき数字(例:月20件のリード獲得)
・ターゲットの解像度(業種・役職・課題・購入トリガー)
・最初に集中する1チャネルと、その理由

Day 31〜60:1チャネルに絞った集中検証

2ヶ月目のゴールは「決めたチャネルで、最小限の施策を本気でやり切る」こと。複数チャネルに手を出すのはまだ早いです。

5. 「最小バージョン」を素早く出す

SEOなら記事3本、SNSなら毎日投稿2週間、コミュニティならイベント1回。完璧を目指さず、まず計測可能な状態でアウトプットを出すこと。AIをフル活用すれば、一人でもこの密度は十分回せます。

6. 計測の最低限を整える

Google Analytics 4・Search Console・各SNSのインサイト・Microsoft Clarity。この4つだけで、初期の打ち手の良し悪しはほぼ判断できます。複雑なBIツールは不要です。

7. 週次レビューを必ず回す

金曜30分でいい。「何が起きたか」「何を変えるか」だけを書いた1ページのメモを残す。これを怠ると、施策は「やったまま」で終わります。

立ち上げを、ひとりで抱え込まない。

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Day 61〜90:再現可能な型づくり

3ヶ月目のゴールは「個人技ではなく、仕組みで動く状態」にすること。立ち上げ担当者がいなくなっても回る土台を整えます。

8. うまくいった施策を「手順書」に落とす

記事の書き方、SNS投稿のチェック項目、レビューの観点。属人化を防ぐため、運用手順を必ずドキュメント化します。これが将来の採用・外注時にそのまま生きます。

9. 2チャネル目の検証を開始する

1チャネル目で再現可能な勝ち筋が見えたタイミングで、初めて2チャネル目に手を伸ばします。順番が大事です。同時に手を出すと、何が効いているか分からなくなります。

10. 6ヶ月先の投資判断材料を揃える

「どの施策にいくら投資すれば、どれだけ伸びるか」の見立てを、経営層に提示できる状態にします。これができれば、立ち上げの90日は成功です。

立ち上げで陥りやすい3つの罠

  1. 全チャネル同時着手:見栄えはいいが、どれも中途半端で終わる。1つに絞る勇気を。
  2. 採用を先に決める:立ち上げの型がない状態で人を採用すると、教えられない・任せられないで疲弊します。仕組みを先に作ってから採用へ。
  3. 外注に丸投げ:戦略の解像度が低いままパートナーに渡すと、施策はばらつき、改善も難しい。最低限の方向性は内側で持つこと。

最初に揃えるツールとコスト目安

立ち上げ初期に必要なツールは、実はとても少ない。月数千円〜数万円で揃います。

豪華なツールよりも、「決めた仮説を、決めたペースで検証し続けられるか」のほうが100倍重要です。

最後に

マーケティングの立ち上げは、特別な才能ではなく、「やるべきことを、やるべき順番で、やりきる」だけのプロジェクトです。とはいえ、一人で全てを抱えるのは消耗します。判断に迷う瞬間や、検証スピードを上げたい時には、外部の伴走者を入れるのが最も投資対効果が高い選択です。

Web Marketing Partnersでは、こうした立ち上げの90日に、立ち上げの当事者として伴走しています。「ヒアリングだけ」「現状整理だけ」のご依頼も歓迎です。

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